plantlifesystems.JPG2020/12~2022/10

課題背景

同社のビジネスモデルは簡単に言えば、「農家の野菜作りノウハウをシステム化する」ものです。
農家の方は野菜を栽培する際に、天気や気温を見て感覚給水するタイミングを決めており
これをシステム化することで、素人でも簡単に美味しい作物を栽培できるようにします。

同社は以下のような、システムとビジネスモデルの不一致による迷走期間が約6年間も続いていた状態でした。

 ・社員のITリテラシーが低いため大手システム開発会社からの
  「システムとしてやりたいことは何でしょうか?要件定義をしてください。」
  というリクエストに誰も答えられず、決められず、曖昧なままに時間とお金だけが費やされた。
  その結果、動かないプログラムだけが納品

 ・畑違いのハイスキルエンジニアに業務システムを任せた結果、
  「入力は手入力、その値を農家が見るだけ」という、メールやLINEで代替可能なシステムが納品

解決方法

【第1フェーズ 2020/12~2021/2】
給水タイミングをLINEにて通知するという仕組みを、モックアップとしてExcelで作成しました。
この際に気を付けていたことは、
「農家の方の直感は複雑なパラメータを必要としないであろう」
という仮説です。
農家の方は「暑い」とか「晴れている」などで判断するので、その判断基準は明確ではないのです。
これを踏まえて担当者へのヒアリングを実施し、発生頻度などを考慮してロジックを突き詰め開発してみました。
そして、実際に使用に耐えうるかをまずは試して頂いたところ、
結果として実用に耐えうることがわかったため、暫定運用を開始致しました。

【第2フェーズ 2021/2~2021/8】
暫定運用の後、ベトナム企業とのオフショア開発を行いました。
開発は無事成功しましたが予算の都合で弊社は設計のみの最低限の関与でした。
我々としてもベトナム企業とお客さまで開発を続けて行って欲しいと思っておりましたが、
納品後のロジックの修正などを社員が随時行えないと、ビジネスが回らないことが判明しました。
また、最先端の技術を使っていたことでシステムが無駄に複雑になっていたために、
修正・拡張には高コストのエンジニアを雇わなければならないことも課題であったため自社開発に切り替えました。

【第3フェーズ 2022/7~2022/10】
開発目的はスリム化と、拡張性と自社開発能力育成でした。
今回のチャレンジは画面のSPA化を行うHotwireという最先端技術の導入
(Hotwireを業務システムに採用したのは日本では弊社が初めてだと思います。)
と、灌水機(農場に水を撒く機械)とセンサーとのやり取りはWebsocketを使ったIoT機器通信モジュールの設計でした。
このIoT機器通信モジュールは他プロジェクトでも再利用可能な形で設計しております。

自社開発能力育成としては新人社員にバッチ処理などの簡単なプログラムから作ってもらいました。
彼はプログラミング経験がなく、成果物も全然ダメなところからのスタートではありましたが、
当初2週間に1本だった進捗が1週間に1本になるという、目覚ましい進歩を見せてくれました。
現在もチャートなどの新しい技術を組み込むなど、機能を改善しながら自走しており、
自分のことを自分でやる文化は実際の仕事を通じてでないと培えないものなのだと痛感しております。